もずが枯れ木で

【作詞】サトウ ハチロー
【作曲】徳富 繁
【MIDIデータ作成協力】マルちゃん

もずが枯木で鳴いている
おいらは藁を たたいてる
綿びき車は おばあさん
コットン水車も 廻ってる

みんな去年と 同じだよ
けれども足んねえ ものがある
兄さの薪割る 音がねえ
バッサリ薪割る 音がねえ

兄さは満州に いっただよ
鉄砲が涙で 光っただ
もずよ寒いと 鳴くがよい
兄さはもっと 寒いだろ


詩は昭和10年10月にサトウハチローが「僕らの詩集」(講談社)に発表したもので、タイトルは「百舌よ泣くな」。一方、曲は小学校の音楽教師だった徳富繁が昭和13年3月18日に作ってますが、はじめは茨城県民謡として、戦時中の暗い谷間に兄弟を戦争に奪われた怒りをこめた抵抗の歌としてうたごえの中で広まってゆきました。

昭和28年頃、日本のうたごえの黎明期に各地の民謡等の掘り起こし、創作活動が活発に行われている中で、一人の女子学生が学童疎開で茨城にいっていた頃に覚えたという曲が、評論家の野口肇の耳にはいり、奥さんが採譜して急速に広まって行きました。

昭和31年4月に、当時、代々木の山谷小学校の教師だった徳富繁が名乗り出て、作詞者・作曲者が判明した次第です。

サトウハチローの原詩は上記のものと微妙に違っています。
それは、20年間もの間、口伝えで広まってきたことにもよるものです。
タイトル自体も、伝えられていた歌には題がなかったために、詩の1行目をとってタイトルにされたという経緯があります。

 もずが枯木に鳴いている
 おいらは藁をたたいてる
 わたびき車はおばあさん
 こっとん水車も回ってる

 みんな去年と同じだよ
 けれども足ん無(ね)えものがある
 兄(あん)さの薪割る音が無(ね)え
 バッサリ薪割る音が無(ね)え

 兄(あん)さは満州へ行っただよ
 鉄砲(てっぽ)が涙で光っただ
 百舌と寒くも泣くでねえ
 兄(あん)さはもっと寒いだぞ

うたごえ喫茶でこの曲を歌う時、「泣いている~」の部分で、必ず、誰かがおふざけで「カァ~」とカラスの泣きまねを入れてましたね。
でも、もず(百舌)って、キィーキィーキィーキチキチキチキチというかん高い声で泣くんですよ。
枯れ枝にカエルが刺さっていると、「あっ、百舌がこの辺にいるんだ」。これはえさの少ない時期のために食料を蓄えておくらしいのですが、干物にして保存するなんざ、頭のいい鳥ですね。

JASRAC情報

製作日誌:
平成15年10月18日 歌詞のみ
平成15年10月19日 MIDIをアップしました
平成18年4月11日 「泣いている」は「鳴いている」ですね
平成21年5月23日 コメントの前半部分に加筆しました。