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ふるさとからの小包み~心は愛に満ちて~
【原詩】「心は愛に満ちている」(中野鈴子)より
【編詞】藤原富枝
【作曲】藤原富枝
今朝着いた小包
母から届くおくりもの
モチ 黒豆 砂糖 つるし柿
下着 タオル
ふるさとの匂い
父からの手紙
よみがえる記憶
高く繁る樹々
冷たい川
母が私を呼ぶ声
味噌汁の匂い
ふるさとからの小包み
手に取り顔に押し当てる
新しい明日に向けて
胸を張り
心は愛に満ちて
心は愛に満ちて
中野鈴子さん(1906~1958 中野重治の妹)が創設者の一人である「ゆきのした文化協会」の代表の方に依頼されて中野鈴子全詩集からの作曲を始め、現在、15編の詩に曲をつけました。
戦時中のことであり、今にも共通して歌えるものは少ないのですが、この「ふるさとからの小包み」は古今東西、今も昔も親はいっしょだなぁと思わせる内容の「心は愛に満ちている」から作ったものです。
心は愛に満ちている
中野鈴子
けさ着いた小包
父母からのおくりもの
モチ クロ豆 砂糖 つるし柿
それからサラシのジバン 日本手拭い
わたしは手にとり顔におしあてた
なつかしい匂い
思い出すさまざま
高く繁る木
つめたい水
父の肩
母のおとがい
そして 父の手紙を
おまえのことを考えると 夜も眠れぬ 母は泣くと
父母は育てた
広い肩にもたれてねむり
目には母親のやさしさをたたえ
女のしあわせがつづくように
けれども
父の選んだ朝は くらやみであった
父のあたえた夜
失った一つの二つの花
多くの女がみずから命を絶ったかなしみ
けれど十年
そして いまもわたしはきちんとここに生きている
わたしは しあわせではないでしょう
三十でひとりもの 旅空の部屋借り
晩さんのまどいもない
とりかわすかいもない
わたしは寂しくないことはない
家々はならび そこに約束した人々が夜ひるをおくっている
それはつくられたもので
しかも自然の姿なのだ
そこでわたしは
万人の生活からはみ出されている
父母よ
あなたは予期しなかったでしょう
わたしも考えなかった
あなたが心配するようにある時はかなしく
あるときは寂しい
けれども全身をつつんでしまうということはない
それどころかわたしは忘れがちだ
いろいろの人間と生活
差別と種類
本を読めばしりたいことでいっぱい
手本に思う人々の直接な行動
泪の怒りに代わる日々
忘れ得ぬ記憶
明日へ
未来をかけて心待ちつつ
心は満ち
朝もはやく目がさめ
ほんとにわたしは忘れている
自分がふしあわせかどうかということを
父母のおくりもの
ジバンは肌に モチは焼いて
黒豆は砂糖で煮よう
ひとりの晩めしも寂しげに食べていない
自分の体は自分であたため
役立つ命として大切に
胸は張り
心は愛に満ちている
ほかにもこんな詩を書いています。
製作日誌:
平成20年12月18日 |
歌詞のみ |
平成20年12月25日 |
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