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砂川(組曲）

【作詞】窪田　亨
【作曲】小林　秀雄

第１楽章
　果てなく広がる武蔵野
　西に果てるところ
　三百五十年の間
　祖父たちの育て上げた村

　欅の並木　五日市街道は
　ほこりの道だった
　今はコンクリートに固められ
　轍の後もつかず
　走り去る軍用車の群れは
　そびえる欅と溶け合わぬ

第２楽章
　ここはわしらの土地
　ここは日本の土地
　基地の中もわしらの土地
　あの滑走路の下に　
　わしらの手がけた畑がある
　　土　わしらの命
　　土　わしらは耕す
　　土　なしには　わしらは生きられぬ
　　売り渡しは土地は　
　　雑草の茂るにまかせても
　　わしらの畑には　草一本はやさぬ

　朝に夕べに地面をふるわす爆音に声奪われ
　不安にさらされた年月
　わしらは憎しみと怒りの炎燃やし
　おかぼ刈る鎌に力こめる
　土よ　麦を丈夫に育ててくれ

　僕らはスクラム　こん棒の嵐にも耐えぬいた
　殴りつけられ蹴られ
　とかれてもとかれても
　組みなおすスクラム
　命にかけて
　僕らの頼るものスクラム
　平和守る力
　　僕らに基地は要らない
　　僕らに戦争は要らない
　　僕らに基地は要らない
　　僕らに戦争は要らない
　　僕らに戦争は要らない

第３楽章
　憎しみの夜は明け　勝利の朝がきた
　傷つけられた千の命にかえて
　僕らは踏みにじられた畑を耕す　耕す
　流された血の染みとおる
　土を握り締め
　情熱の炎燃やす　炎燃やす

　　わしらは土地を守った
　　僕らは日本を守った
　　この暖かな陽射し
　　砂川の勝利をたたえよう

　燎原の火のように　勝利を広めよう
　沖縄に平和よみがえらすために
　祖国守りぬくスクラムを
　更に高めよう

　　僕らの国日本から
　　基地取り払う力蓄えよう
　　すばらしい国日本のために

　燎原の火のように　勝利を広めよう
　燎原の火のように　
　勝利を勝利を広めよう

さあ、日本史では「砂川事件」として習った、砂川闘争を題材にしたうたごえの大作「組曲　砂川」です。1957年7月8日，東京調達局は，東京都砂川町の米軍基地拡張のために測量を強行。これを阻止しようとする基地拡張反対派のデモ隊の一部が米軍基地内に立ち入り舞台は法廷へ。第一審の東京地方裁判所は，59年3月30日，安保条約は違憲で，被告人らを無罪とするという判決。しかし、早いことに同年12月16日，最高裁判所は，差戻し判決を下しました。外国の軍隊は，9条でいう戦力には該当しないと解釈し、日米安保条約のように高度の政治性のある問題について，裁判所の司法審査権放棄する、という驚くべきものでした。
歌詞の中には、土地を奪われた農民の叫び、それを守ろうとすると人々の弾圧に負けない強固な意志が高らかに歌い上げられています。