北帰行

【作詞】宇田 博
【作曲】宇田 博

窓は 夜露にぬれて
都 すでに遠のく
北へ帰る 旅人ひとり
涙流れて やまず

夢は 空しく消えて
今日も 闇をさすらう
遠き想い はかなき希望(のぞみ)
恩愛(おんあい) 我を去りぬ

今は 黙してゆかん
何をまた 語るべき
さらば祖国 いとしき人よ
明日は いずこの町か
明日は いずこの町か


「旅順高等学校逍遙歌」という名前で歌われることもあるそうですが、昭和36年の小林旭のヒット曲として有名です。
作者の宇田 博は、昭和15年創立の旅順高等学校に入学するのですが、ガールフレンドとの交際が原因で退学処分になります。
彼が悔恨と絶望をこめて友人に残したのがこの歌です。昭和16年のことです。
旅順から奉天の自宅へ北にむかって帰るので、この題名がついたといわれてます。

彼が去った旅順高校では、学友たちがこの曲を愛唱。
戦後も歌い継がれ、歌声喫茶ブームで取り上げられ、小林旭の「渡り鳥北へ帰る」の主題歌にも抜擢。
終戦で帰国後、東大文学部仏文で勉強して、映画会社に入社。
歌声喫茶ブームで自分の曲が歌われているのに、びっくり。
当時、残して行った楽譜を友人がもっており、作者の著作権が証明されたということです。

作者不詳、という、当時ではよくあるパターンの一つで、
北上夜曲」も、当初は、作者不詳のままダークダックスがレコード化。その後、昭和16年に、二人の中学生が作ったということが判明してます。
もずが枯れ木で」も同じような背景。詳細は、そちらをご覧ください。

JASRAC情報
製作日誌:
平成21年6月1日 歌詞とMIDIをアップ