その子5~ツッパッてた子~
【作詞】道家桂
【作曲】道家桂
茶髪のリーゼント ダブダブのボンタン
卒業アルバムの おまえの写真
あそび呆ける母と 仕事だけの父と
そんな家庭に安らぎはなく
何度行っただろう 夜中の家庭訪問
ある時おまえは 急にこう言った
「先生 今からでも まじめに頑張れば
職訓(しょっくん)受かるか」と
本気になった秋の夜
あの頃はとにかく 大人に逆らうこと
それがつっぱりの証しだったと
でも本当は不安で それをごまかしたくて
かっこつけてたんだと おまえは笑う
今年はカミさんと 二人の子どものために
家を建てなきゃならないんだと
話すおまえの姿 なんて幸せそうな
教師冥利の 十四年目のクラス会
ルルルルルルルル
次もきっと来よう おまえに会うために
三重県の中学・国語教師、道家桂の「その子」詩シリーズの第5作です。
「その子」は暴走族に入った女子中学生の話
「その子2」はいじめ問題
「その子3」は障害者教育
「その子5」はツッパッていた男子生徒
という連作です。
現場で苦労を重ねてきた教師ならではの視点からの作品群です。
一方、尾崎豊の「卒業」など(歌詞だけですけど、MIDIはもう少しお待ちください)、逆に子ども達の(というとヘンかな)側からみたもの。
当サイトでは、尾崎豊については、これまで取り上げてきてませんでしたけど、この「その子5」の歌詞を打ち込んでいてそんな感じをもちました。
(なお、「その子3」はセリフが全体の70%以上。道家さんから楽譜をいただきましたが、ちょっとMIDI化は困難なので、見送りです。以下に、歌詞だけご紹介します。
その子3
そのころ、私の勤めていた学校は、各学年3クラスでしたが、学年を超えた"4組"というクラスがあって、そこにはいろんな障害をかかえた子ども達が集まっていました。
そして、私はそこで、週に2時間、国語を教えていました。
4組さんの授業は一筋縄では行かない
そして 4組さんの授業は いつも何かが起きる
「今日は"ひばりの巣"という詩を勉強します」
「はい、先生」
「おーい、林君、早いなあ。まだ、何も言っていないのに」
「はい、"美空ひばり"」
「おー、"ひばりの巣"から"美空ひばり"を考え付いたのか!
それは大した発想だ。すごいわ林君!」
「はいー」
4組さんの授業は一筋縄では行かない
そして、4組さんの授業は、いつでも何かが起きる
「"ひばりの巣見つけた。まだ、だれも知らない。"
さあ、このとき、そんな気持ちかな」
「はい」
「おー、後藤君」
「ひばりの巣、見つけた」
「んー、で、どんな気持ちかな?」
「ひばりの巣、見つけた」
「だからさ、うれしいなあ、とかさ?」
「ひばりの巣、見つけた」
「そうだな、そう思ったからそうやって書いたんだよな、後藤君エライ!」
「うん」
4組さんの授業は一筋縄ではゆかない
そして、4組さんの授業は、いつでも何かが起きる
「みんな、体育祭何でるの?」
「ぼく100m」
「私 50mハードル」
「松岡君は?」
「先生、松岡君ね、巾跳び」
「巾跳び?」
松岡君は、足が不自由で松葉杖を突いてあるいていました。
その上、重度の難聴で、いつもとなりにいる近藤さんがこうやって会話を受け答えしてくれるのです。
「でも松岡君、松葉杖ついて巾跳びするの?」
「ちがうよ、先生。松岡君ね、腕の力がすごいから腕で巾跳びするんだよ」
「へえ。」
そして体育祭当日、松岡君は本当に2本の腕で思いっきり地面を押して、その反動で幅跳びをしていました。
記録は"36cm"でした。
私は、その記録を忘れることができません。
吉本を目指す林君
素敵な笑顔の後藤君
世話焼き姉さんの近藤さん
筋肉モリモリ松岡君
みんなそれぞれハンディキャップは違っているけど
4組さんの生徒はみんなやさしい
4組さんの授業は一筋縄ではゆかない
そして、4組さんの授業は、いつでも何かが起きる
だけど4組さんの授業はいつでも笑顔がいっぱい
そして4組さんの授業は感動がいっぱい
JASRAC情報はありません
製作日誌:平成19年4月18日 | 歌詞のみ |
平成19年4月24日 | MIDIをアップ あれっ?「4」がない! |
平成19年4月23日 | 道家さんからメールをいただきましたら、メールアドが「目指せ、その子100番」ですって。 おっと、頑張っていただきましょう!「ねがい」を越えて |