夏は来ぬ

【作詞】佐佐木 信綱
【作曲】小山 作之助
【MIDI製作協力】マルちゃん

卯の花の におう垣根に
ほととぎす 早も来なきて
しのび音もらす 夏は来ぬ

五月雨の そそぐ山田に
早乙女が 裳裾ぬらして
玉苗植うる 夏は来ぬ

たちばなの かおる軒端に
窓ちかく ほたる飛び交い
おこたり諌むる 夏は来ぬ

棟(おうち)ちる 川辺の宿の
門とおく 水鶏声して
夕月すずしき 夏は来ぬ

五月やみ ほたる飛び交い
水鶏なき 卯の花さきて
早苗うえわたす 夏は来ぬ


作詞の佐佐木 信綱は万葉集研究の一人者。
明治29年発行の「新編教育唱歌集(五)」に収載されたこのメロディに詞をつけるにあたって、万葉集がかなりのヒントになっているようです。
万葉集には、「卯の花」を歌ったものは22首あり、そのうち17首が「時鳥(ほととぎす)」との組み合わせ。
「五月雨に裳裾濡らして植うる田を、君が千歳のみまくさにせむ」は2番になど、いたるところに日本的な原点がちりばめられているのですね。
「五月闇ここひの森の時鳥」(後拾遺和歌集)も参照されているようです。
この「五月闇」というのはさみだれの降る頃の夜が暗いこと、です。
「棟」は植物のセンダンの古い名前で、万葉集に「妹が見し棟の花は散りぬべし」というのがあります。

JASRAC情報

製作日誌:
平成20年5月7日 歌詞のみ
平成20年5月17日 MIDIをアップ
先日の「仰げば尊し」のように、季節はずれになる前に間に合いました。