林道人夫

【作詞】藤原和義
【作曲】藤原和義
【MIDI製作協力】三青合唱団おっくん

1.重いつるはしかついで
  ほこりにまみれた日暮らし
  黒い肌に汗を流して
  林道人夫よ 俺たちは
   おお 俺たちは山を砕き
   道を作る男さ ウウ

2.故郷(くに)の便りがとどけば
  お天道さんも笑うよ
  発破をかけろ山を砕け
  林道人夫よ俺達は
   くりかえし

3.風に吹かれりゃ心も
  人恋しさに揺れるよ
  雨が降れば急げトラック
  酒場を目指して街に出る
   くりかえし

4.できた道路を車が
  ほこりを立てて走るよ
  車もない俺は歩いて
  仕事を探しに旅に出る
   くりかえし x 2


1977年名古屋の第24回日本のうたごえ祭典で、京都のムジカが演奏。
作者藤原和義の地元、長野の山々の林道開設工事現場に働く労働者を謳いあげたものです。( 1000曲集より)

この曲は、昨年の東北うたごえ交流会で、仙台のD51合唱団がダイナミックに演奏。
もう、感激しましたね。D51合唱団の鉄道労働者の作業服のまんまの舞台衣装(?)とこの歌の背景が異業種交流ながらもピッタシとあっているんです。労働者の歌の心は業界を越えて通い合っているんです。

人夫って、FEPで一発変換できません。
妊婦・ニンプしか選択肢が出てこないんですね。
にんふでも同じ。
広辞苑(電子版)では
1.公役に徴用された人民。
  夫役を課せられた人民
2.力仕事に従事する労働者。人足
別に差別用語でもないと思うし。

最近、「橋のない川」を読んでます(ってあっちこっちで書いてますけど、今ごろ読んでんのかよって云われてます)
今、読んでいるところは、昭和48年に刊行された第6部です。
里中孝二が21歳。差別撤廃を掲げた水平社が立ち上がり、小作料の引き下げなどに奔走している、というストーリー。
その中に、年貢と小作料の違いについて議論している場面があります。
年貢について和一が説明してます。「昔の領主は領民を生かすも殺すも自分の思いのままやった。その領主が握っている大きな権力-生殺与奪の権やなア-その権力にものをいわせて領民に課した租税、これが年貢や。・・・その時代の支配者の命令で、支配を受ける下々が、自分の働きで作り出した品々を、"かしこまって捧げ奉った"のが年貢、あるいは貢物や。というのは、貢というのは下から上へかしこまって物を納めるという意味やよってな。というても、これはむろん下々が好んでやったことやあらヘン。これは支配者が権力にものを言わしてやったことで、つまり強制課税やな。」(新潮文庫より)
一方の、小作料は土地使用料なのに、年貢的な風習(現物納など)が残っているところに似て非なるものがあるわけです。

広辞苑の人夫の説明の1と2では、これと同じような「異なるも同」の側面があるのでしょうね。1.は支配者による奴隷制のようなものであり、年貢が死語になりつつあるように、人夫も死語にするべき日本語の一つなのかもしれません。とすると、この曲のタイトルは、早晩、「林道開設工事現場労働者」?

今回、この曲のMIDIつくりに、三多摩青年合唱団のおっくんにお手伝いいただきました。
あまりにも仕掛品が多いので、お手伝いと云うことで、XG Worksをワザワザ買ってきて打ち込みをやっていただけました。
三青では、Finaleで楽譜つくりをされている方、HP製作で素晴らしい才能を発揮されている方、などなど、組織力のパワーでお世話になってます。

JASRAC情報

製作日誌:
平成17年7月24日 先ず、MIDIを作成(非公開)
平成17年7月30日 歌詞とMIDIをアップ